7. 給与所得者の特定支出控除

まず、上のご質問にお答えしますね。

 ●「源泉徴収を止めてくれ」とは、残念ながら言えません。
 ●サラリーマンに認められる経費の内容は下に記載しております(特
  定支出控除)。
 ●サラリーマンが全て個人で処理するのは、現状では「損」だと思い
  ます。


トーゴーサン(10・5・3)という言葉があります。

サラリーマンは所得のほとんど全部を税務署に知られてしまう。
自営業者は半分程度で、農家は3割程度という意味です。

不公平だ!!
サラリーマンも個人事業主のように、自分で収入(給料)と必要経費を
集計して確定申告を行えないのだろうか?


── 今日のキーワード ────────────────────────

 ● 現状では、会社から源泉徴収されて、年末調整されるのがお得!
  
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まずは、サラリーマンの税金の計算方法を確認しましょう。

1.まず、給与所得を計算します。
  給料収入(額面金額です)-給与所得控除額=給与所得

3.次に、給与所得から扶養控除などの所得控除を行います。
 給与所得-所得控除=課税所得
  →この課税所得に税率を乗じて年間の所得税額を算出します。

3.上で算出した所得税額が、既に給料から天引きされている税金より
 も少なければ、「年末調整還付金」として天引済みの所得税の一部
が還付されることになります。

ここで重要なのが「1」の式に登場した『給与所得控除額』です。
これは、個人事業主でいうところの「必要経費」のようなものです。

普通、必要経費の額は各個人によって異なるはずですが、この『給与所
得控除額』は一律に決めれています。

例えば、年間給料の額面金額合計が500万円の場合、給与所得控除額
は154万円とまります。

ここまでが、よく知られているサラリーマンの税金の計算方法です。


次に、『給与所得者の特定支出控除』という制度をご紹介します。
意味は、
 ●特定支出の合計額が、
 ●給与所得控除額を超えるときは、
 ●その超える金額は、確定申告することにより控除できます。
というものです。

おや?
サラリーマンの必要経費は一律に決めれているものだけじゃないんだ!
特定支出っていう必要経費が認めれているんだ!

そうです。
が、この『特定支出』というのが曲者なのです。


『特定支出』の内容は次の5つです。

1.通勤交通費
2.転勤時の引越費用
3.仕事に必要な知識を得るための研修参加費用
4.仕事上必要な資格を取るための支出
5.単身赴任者の帰宅旅費

因みに、自分で負担した金額しか特定支出とは認められません。
例えば会社から通勤手当が支給されている場合は、通勤交通費は特定支
出と認められないのです。

さて、どうですか?
一見して微妙な感じがしませんか?

年間の給料収入が500万円の場合、給与所得控除額は154万円です。
特定支出の合計額が154万円を超えることは考えにくいですよね。

仮に超えたとしても、それはそれで大問題です。
だって、旅費やら研修参加費やらで154万円超もの支出をしたら、生
活するのがかなり厳しいですよね(^.^;;。


個人的には、給与所得者にも個人事業主と同じように必要経費を認めて
あげるべきだと思います。
極端な話、サラリーマンに接待交際費を認めてもいいと思います(^O^)。
(そうなったら面白いですね。個人消費がドンと増えるかも?)

しかし、現在の法律では認められていないのが現実です。
残念!!